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ミュージアムのメイン展示室は吹き抜けになっています。資金がなかったので、とりあえずがらんとした箱のような空間を作ってもらいました。本当は内装は自分たちでやりたかったのですが、結局、長野で木工家具を作っているグループにお願いしました。古い民家の廃材などを使い風情のある仕上がりで、壁には1階から2階の高さまで棚が作り付けてあります。はしごで届く範囲はともかく、高い所はどうやって展示するかが最大の課題でした。 昨日、いよいよその時がやってきました。建築足場用の角材を3本、2階から向かいの壁沿いの梁に渡し、厚さ1センチ、幅90センチの板を乗せました。こちら側の板と角材は釘止めしたものの、なんとも危うい感じです。 「ほんとにこの上に乗っかって大丈夫なの?」「うん、強度計算はしてあるから」 板東*は試しにそろそろと板の上を歩いて戻ってきました。 「安定はしてるんだけど、体が堅くなっちゃうんだな」 見ると顔から血の気が引いています。何かというと「こわい」「やだ」を連発する私と反対に、ふだんは弱音をはかない人なのに。
知りあって20年近くになるけど、そんなこと知らなかった。知ったからにはやらせるわけにはいきません。 「いいよ、私がやってみる」「平気?」「うん、いざとなると女の方がずぶといから」 と言っても、私も決して高い所が得意ではない。鳶の人のようにスタスタ歩くなんて芸当は無理。長さ3メートルの板の上をひざ立ちで進みます。つまり、四つんばい状態。 この棚にはバリの木彫り猫を並べる予定。思いっきり左右に手を伸ばして、大きなものから順に置いていきます。 「ああ、今のやつ、左右逆にして」「やっぱりさっきの赤い方がいいな」 高所恐怖症から開放された板東が、背後でいろいろ指示を出してきます。内心むっとしながら、『平常心平常心』と自分に言い聞かせて作業に集中。1時間ほどで、バリ猫が見事に並びました。 今度は左側です。また同じ手順でと思いきや、棚の造りが左右対称ではないため、向かい側に角材を受ける梁がないことがわかりました。 「はしごしかないな。今度はおれがやるから」「…私、登るよ」 果樹剪定用のはしごを壁に立て掛けます。ここには常滑の大型の猫を並べる予定。バリ猫よりはるかに重く大きく、しかもつるつるしてつかみ所がありません。はしごの前後左右はことごとく壊れ物。これではとてもよその人には頼めないなぁ、と不安定なはしごの上で感じ入りました。 背後霊のような板東のディレクションで、どうにか手の届く範囲には並びましたが、最上段左手奥は空いたまま。果たしてオープンまでに埋められるのでしょうか? 首をかしげた私ですが、翌日は身体中の筋肉痛で首を回すのもままならなくなりました。 (文:日本招猫倶楽部世話役 荒川千尋 2000.3.7) |